第9章 宇宙からゲームが降りそそぐ サテラビュー

衛星データ放送「スーパーファミコンアワー」開始

サテラビュー(1995年)

"スーパーファミコン(1990年)

1995年4月23日、任天堂は衛星デジタルラジオ放送局「セント・ギガ」に出資を行い、世界初の衛星データ放送サービス「スーパーファミコンアワー」を開始した。衛星放送の映る環境があれば、スーパーファミコンに専用アダプタ『サテラビュー』を接続するだけで、毎日午後12時から深夜2時までの間、SFCの体験版やBSオリジナルゲーム、有名人によるサウンドリンク(音声連動番組)ゲームなどが無料で楽しめた。ゲームや番組は日々更新され、全国のユーザーが同じ時間に一斉に遊ぶなど、インターネット時代を先取りした新しい試みがなされた。
放送当初は、タモリや爆笑問題、浜崎あゆみ、伊集院光といった有名人によるラジオ音声番組が配信され、『タモリのピクロス』『ワリオの森 爆笑バージョン』など、各パーソナリティを元ネタにしたゲームも登場。スクウェアやエニックス、アスキー、ハドソンといったサードパーティも参加し、『BSゼルダの伝説』や『BSドラゴンクエストI』などのサウンドリンクゲームが盛り上がりを見せた。しかし、ユーザー数が伸び悩んだことから、翌年には早くも規模を縮小。サテラビューの販売台数は、発売1カ月で約1万3000台、半年後には2万から3万台と目標の200万台には程遠かったという。(※1)

サービスの縮小から撤退へ

サテラビューのパンフレット(1995年)

サテラビューのパンフレット(1995年)

当初は通販のみだったが、95年11月から店頭でも販売を開始。普及に力を入れる一方、96年3月には多くの番組が終了し、番組改編や放送時間の見直しが図られた。同年6月には野村総合研究所、マイクロソフトと衛星データ放送とインターネットを統合した事業で提携、98年には京セラとデジタル衛星放送ビジネス参入を発表するが、いずれも撤回。
99年3月31日、放送スポンサーだった任天堂が放送事業から撤退したことで、放送時間が縮小され、BSオリジナルゲームも再放送のみとなる。セント・ギガは「スーパーファミコンアワー」から「セント・ギガ衛星データ放送」と名称変更してサービスを継続したが、2000年6月30日、『ドクターマリオ』の配信を最後に、サービスを終了。
サテラビューは、広告媒体としてゲームの評価や新作予告を行ったり、ゲームの体験版からソフト購入へとつなげたりなど今後のネットワーク時代に向けての任天堂の大いなる挑戦だった。しかし、BSアンテナがないと利用できなかったこと、販売経路が限られていたこと、積極的な広報活動を行っていなかったこと、スーパーファミコン市場が衰退し、NINTENDO64に移行していたことなどから、任天堂の計画通りには普及しなかったという。

    出典

  • ※1 日経産業新聞(1995年5月29日、1995年10月12日)